介護は人の手

介護は人の手

私は特別養護老人ホームに勤めている男性職員です。ご利用者様方に「ありがとう」と言われる事が嬉しくて仕事をしています。ご利用者様方に笑顔を提供する事がをモットーに頑張っていました。

ある時期に、施設側から給料支払いのの遅延や賞与が当日になって無くなった事があり、会社に不信感を持った職員達が次々と退職していきました。そうなんです。介護ブラックっていう言葉もあるくらいある意味ブラックな職場なんです。

さらに毎日提供していたおやつがなくなり、砂糖もご利用者様が個人購入する事になったり、行事食の回数が減らされたりされ、会社の経営や運営に不信感が募り、さらに多くの職員が退職されました。すると1フロア40名程のご利用者様がいるのに対し、職員数は少なくなりました。

日中8人から9人の職員がいましたが、退職者が続出してからは4名から5人程になってしまいました。食事、入浴、排泄介助のではスピードが求められるようになり、結果、介護の質が落ちていきました。また、やるべき事をしないことが増え、量も減っていきました。

食事介助では、嚥下不良のご利用者様には食前に口腔マッサージを行われなければ誤嚥のリスクが高まります。その口腔マッサージをしないで食事を開始してしまう。ご利用者様は開口不良や嚥下不良で栄養が少なくなってしまいます。体が弱まってしまって誤嚥をお越し、誤嚥性肺炎を患ってしまう。さらに体力が低下してしまう。入院先から退院して施設に戻ってこられた時にはほとんど物が食べられない状態になっており、一日に食べる事ができるのは、栄養価の高いゼリーと、栄養補助流動食、水分ムースだけになりました。

するとさらに栄養状態は悪化していき、皮膚は弱まり、床擦れや内出血が多発しました。そのご利用者様からは笑顔が見られることがなくなり、常に痛みを感じている苦痛表情をされていました。しかし、職員数は変わらずに少ないままで、十分なケアが必要なのに、ケアが疎かになったままでした。

みんな「忙しい」を理由に所々で手を抜いていたり、必要なケアを省いていました。小さなケアであろうとも、それを行わない事が積み重なれ、ご利用者様に大きな損害になります。逆に、小さなケアでも確実に行っていれば、ご利用者様は現状の健康を保ち、安楽に過ごしていけます。そのご利用者様は、誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し、栄養不良から骨折もしてしまい、痛くて苦しい日々を過ごされました。

最後は入院先でお亡くなりになりました。その一報を聞いて担当の相談員が入院先の病院に行って、顔を見たとの事。眉間にシワがついたままで、とても穏やかな顔ではなかった。痛くて苦しんで最後を迎えたと思う。と話していました。

職員を集めて会議を行いました。どうしてこんな事になってしまったのかと、話し合いました。どうすればよかったのかと。小さなケアでもしっかり確実に行うこと、スピードより質、等と意見がありましたが、やはり最後には「しかし、手が足らない!」でした。介護は人の手です。これが無いと介護にならないなと思いました。介護の仕事がちゃんと行われるように、まず職場環境が改善されないと無理なのかと、悔しい想いで一杯です。

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